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百代之過客

物から学ぶこと

異国にて、公開講座による学生の研究報告を拝聴した。
発表は様々な国から美術を学ぶ留学生達であった。
ある学生は訛りある発音で自国と他国の美術について語った。

両国の作品を比較し、
自国の作品と他国のコピー作品と言い列挙した。
他国のルーツは自国にあるという賞賛結論であった。
 
聴衆は内容に不快感を示し嘲笑い、諌めた。
互いに腑に落ちぬまま次演者が壇上に上がった。

"自国"文化は前時代の異国よりもたらされ、
さらに遡れば国が形成される前の人間の営みであった。
 
文化は国境を越え他国であれど尊敬し受け継がれ
国は絶え廃れども、時を超え今に伝えられている。

ただ諌めるのではなく、同じ学ぶ者として
行く末への希望、互いに敬う気持ちを説くべきであったではないか
 
帰路、木漏れ日に眉をひそめつつ
同じ聴衆の一人として謝罪の念と
ふと虚しさをおぼえた
 


by kenkodaifuku | 2017-12-23 12:17
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